事案の概要
業種:デザイン
関係する権利:著作権
請求側/被請求側:請求側
クライアント:個人事業主
相手方:社団法人
概要:依頼者は、自ら制作したオリジナルのイラスト作品と極めて類似したイラストが第三者によって商用目的で使用されていることを発見しました。
問題のイラストは、オリジナル作品と構図・配色・キャラクター表情などが酷似しており、依頼者は著作権侵害(無断複製・翻案)にあたる可能性があるとして、当事務所に相談されました。
1.検討
当事務所では、依頼者の原作品と相手方が使用していたイラストを詳細に対比しました。
その結果
- キャラクターのポーズ・髪型・装飾要素の配置
- 色彩の表現手法
- 特徴的な台詞回し
といった創作的表現(著作物性のある部分)に多数の共通点が確認されました。
一方で、単なるアイデアや一般的要素(著作物性が認められない部分)の類似点も存在しましたが、全体として明らかに依頼者作品に依拠しており、模倣作品であると判断しました。
2.交渉
当事務所は、依頼者代理人として相手方に対し、著作権侵害行為の差止と損害賠償請求を内容とする書簡を送付しました。
書簡では、両作品の比較資料を添付し、依頼者作品の創作性および相手方作品の依拠関係を具体的に指摘しました。
これにより、相手方も模倣の事実を認め、誠実に話し合いに応じる姿勢を示しました。
3.和解
交渉の結果、
- 相手方が著作権侵害を認め謝罪する文言
- 問題となったイラストの使用停止・削除措置
を内容とする和解が成立しました。
依頼者は訴訟を経ることなく、短期間で円満に解決を図ることができました。
4.コメント
本件は、イラストなどの創作物における著作権侵害の立証と交渉対応の典型的な事例です。
構図や色使いなどの創作的要素が一致している場合、「単なる偶然」ではなく依拠関係(模倣)を的確に指摘することが重要です。
当事務所では、
- イラスト・デザイン・写真等の著作権侵害に関する比較分析
- 損害賠償および差止請求のための法的対応
- 謝罪文や再発防止条項を含む和解契約の作成
を通じて、依頼者の創作物を守るための実務的なサポートを提供しています。